訪問看護師になるための看護マニュアル

在宅看護における在宅がん化学療法ケア

在宅における化学療法の目的は、
「治癒」、「延命」、「症状緩和」に分けられ、
在宅において抗がん薬などの薬物を経口やカテーテルから投与します。

 

在宅で行われる化学療法は、
「抗がん薬の経口投与」、「中心静脈カテーテルや皮下埋め込み式カテーテルからの抗がん薬注入」などの方法があります。

 

在宅で化学療法を受けている患者さんの多くは、
病状が進行した状態にあります。
限られた予後を可能な限り快適に過ごすための鎮痛薬投与などの緩和療法を行いながら、
同時に生命予後の改善と症状緩和のための抗がん薬を使用している場合も多くあります。

 

病状の進行や体力の低下と共に、
副作用の出現の危険性が高くなることから、
病状の変化に十分注意していく事も必要です。

在宅がん化学療法の適応と条件

化学療法の適応は、疾患(がん腫)側の要因と、
患者さん側の要因の2つで決まります。

 

@ 疾患(がん腫)側の要因

 

がんの種類とその治療効果(奏功率、延命効果、治癒率、症状緩和)によって、適応は左右されます。

 

A 患者さん側の要因

 

第一に患者さん自身がしっかりと疾患を理解していること、
そして、実施する化学療法の目的や出現しうる副作用やその対処法について
積極的に知識を得ようとする姿勢が必要です。

 

PS(performance status:全身状態の指標による一般状態)が、2以下であることと、栄養状態が良好であることが必要です。

 

一般に高齢者は化学療法の適応にならないことが多いです。
ですが、年齢よりも臓器機能やPSが判断材料として優先されます。

PS(performance status:全身状態の指標、がん化学療法効果判定基準)

グレード0: 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等に行動ができる。

 

グレード1: 軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行や軽労働・坐業(軽い家事や事務など)はできる。

 

グレード2: 歩行や身の回りのことはできるが、ときに介助が必要なこともある。軽労働はできないが、日中の50%以上は起居している。

 

グレード3: 身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%は就床している。

 

グレード4: 身の回りのことができず、常に介助が必要で、終日就床を必要としている。

 

 

また、在宅において、中心静脈カテーテルや皮下埋め込み式カテーテルを使用して抗がん薬を投与する場合は、
「患者側の条件」、「看護師の条件」、「医師との連携条件」
などの条件を整える必要があります。

 

@ 患者側の条件

 

主治医が化学療法の適応であると判断し、
その目的や副作用、在宅での治療を継続するときのメリットやデメリットについて
患者さんや家族に説明し、同意を得ていること。

 

同じ薬物を用いた化学療法を、入院中に少なくとも1クール体験していること。

 

A 看護師の条件

 

病棟や外来に置いて、ガン化学療法を必要とするがん患者の看護経験があり、
「がん化学療法の適応と薬物の作用機序についての理解」、
「がん化学療法に伴うトラブル、副作用についての理解」、
「在宅がん化学療法の実施に関連した、患者・家族への指導内容の理解」、
「カテーテル管理に必要な知識と技術(注入ポンプの使用方法・輸液回路の接続方法・皮下埋め込み式カテーテルへのヒューバー針刺入・抜去など)がある」、
「抗がん薬の取り扱い方法に関する知識(抗がん薬の調剤時には、手袋やゴーグルを使用し、皮膚への付着がないように注意が必要)があること」、
「在宅で使用する医療材料・衛生材料の調達方法」
の知識・技術を持っていることが条件です。

 

このような看護師の条件に満たない場合は、
医療機関で研修を受け、必要な知識・技術を習得した後に行うこととなっています。

 

B 医師との連携条件

 

訪問看護ステーションは、事前に主治医によって薬物の投与法や緊急時の対応方法など
具体的に指示を受けておくことが必要です。

 

ですから、管理協定をあらかじめ書面で取り交わしておくことが必要です。