訪問看護師になるための看護マニュアル

嚥下障害のある患者さんへの援助

嚥下障害のある患者さんへの援助は、
一人ひとりの患者さんの嚥下機能を把握することから始まります。

 

その上で、経口摂取を目指した間接的・直接的訓練を援助し、
誤嚥を起こさず、必要な栄養や水分を経口摂取できるように援助します。

 

嚥下障害には、「構造的嚥下障害(静的障害)」と「機能性嚥下障害(動的障害)」があります。

 

@ 構造的嚥下障害(静的障害)
構造的嚥下障害(静的障害)は、嚥下される食べ物の塊の通路となる部分の異常による障害です。
通路そのものの病変が原因の場合と、通路の周囲に起こる病変が原因の場合があります。

 

A 機能性嚥下障害(動的障害)
機能性嚥下障害(動的障害)は、嚥下される食べ物の塊の運搬動作の異常による障害です。
そして、嚥下運動に関連する中枢と末梢神経、その筋の異常によって起きます。

摂食・嚥下障害の重症度分類

1段階: 唾液誤嚥(saliva aspirator)
常に唾液も誤嚥していると考えられるレベルです。
持続的な経管栄養を必要としますが、誤嚥のため、医学的安定性を維持することが難しく、
合併症のリスクも高く、直接的訓練を行うのも困難なレベルです。

 

2段階: 食物誤嚥(food spirator)
誤嚥を認め、食物形態効果が不十分なレベルです。
水・栄養管理は、経管栄養を基本とします。
経管栄養法を行っている限り、医学的安定性が保たれます。
間接的訓練が適応されますが、直接的訓練は専門施設内で施行されます。

 

3段階: 水分誤嚥(water aspirator)
水の誤嚥を認め、誤嚥防止法の効果は不十分ですが、
食物形態効果は十分に認めるレベルです。
嚥下食が選択され、適当な摂食・嚥下方法が選択されると
医学的安定性は保たれます。
間接的嚥下訓練、直接的嚥下訓練が適応になります。

 

4段階: 機会誤嚥(chance aspirator)
通常の摂食方法では誤嚥を認めますが、
一口量の調節や姿勢効果、嚥下代償法(誤嚥防止法)などにより、
水の誤嚥も十分に防止できるレベルです。
適当な摂食・嚥下方法が選択されると
医学的安定性は保たれます。
間接的嚥下訓練、直接的嚥下訓練が適応になります。

 

5段階: 口腔問題(oral problem)
主に準備期や口腔期の中等度から重度の弊害があるもの、
咀嚼に対して食事形態の工夫が必要なレベルです。
誤嚥がなく、間接的嚥下訓練、直接的嚥下訓練が適応になります。

 

6段階: 軽度問題(minimum problem)
摂食や嚥下に軽度の問題があり、
若干の食事形態の工夫が必要なレベルです。
誤嚥がなく、間接的嚥下訓練、直接的嚥下訓練が適応になります。

 

7段階: 正常範囲(normal)
摂食や嚥下に問題がなく、嚥下訓練の必要がないレベルです。

 

* 摂食・嚥下障害の重症度分類で、3〜6段階が、在宅嚥下訓練の適応になります。

 

食事は日常生活の中で大きな位置を占める大切なものです。
嚥下食をつくること、食事介助を毎日することなどが必要なので、
介護者が不可欠です。

 

そして、嚥下訓練は、日常的に訓練を行っていくことが必要です。