訪問看護師になるための看護マニュアル

在宅酸素療法(HOT)について

在宅酸素療法(HOT:home oxygen therapy)は、
慢性呼吸不全例のうち安定した病態の患者さんに対して酸素を投与し、
在宅療養や社会復帰を可能とする目的で行われるものです。

 

ほとんどの患者さんが酸素供給装置を業者(メーカー)からリースし、
それを自宅に設置して、酸素チューブを使って呼吸時に酸素投与を行っています。

 

酸素チューブによって行動範囲の制限臥ありますが、
動ける範囲で通常の生活を営むことができます。
そして、ほとんどの患者さんが、鼻カニューレによる低流量酸素療法です。

 

在宅酸素療法(HOT:home oxygen therapy)の適用は、
厚生省<1994年>に対象疾患として、
高度慢性呼吸不全、肺高血圧症、チアノーゼ型先天性心疾患とされています。

 

そして、臨床的に落ち着いているが、酸素投与が可能な場合で、
家庭で酸素療法を行うことで入院が不要になる場合、
高度慢性呼吸不全の患者さんのうち、
静脈血酸素分圧(PaO2)が55mmHgまたは60mmHg以下で、
睡眠時や運動負荷時に著しい低酸素血症となる場合、
低酸素状態を起こす肺癌の患者さんなどに適応になります。

 

在宅酸素療法は、臨床的に秒描画不安定な場合や、
必要な酸素量が一定しない場合、酸素投与によってCO2蓄積が憎悪する場合は行うことができません。

 

在宅酸素療法が適用になる条件は、
入院して酸素療法を行い、合併症の憎悪傾向や上気道感染症、
CO2蓄積などの危険が無いことが確認された場合、
定期的に医療の管理が受けられる場合、
患者さんや家族が酸素療法の意味や危険、
機器の取り扱いを十分に理解し、協力が得られる場合、
あらかじめ酸素吸入以外の有効な治療が行われており、
その後少なくとも一ヶ月以上の観察期間を経ていて安定期にある場合です。

在宅酸素療法の在宅でのケアと援助

緊急時の対応を速やかにすることができるよう、
患者さんや患者さんの家族などの介護者が、
異常を早期に発見することが必要です。

 

常に、呼吸困難や風邪などの疾患には気をつけます。

 

例えば、「息切れが強い」、「チアノーゼがある」、「動悸がする」、
「ぜいぜいする」、「風邪をひいた」、「咳や痰が増えたり、痰が黄色くなった」、
「むくみの出現」、「体重が増えた」、「尿量が減った」などの症状が出た場合は
医師に連絡をしてもらうか、来院し診療を受けてもらうように指導します。

 

また、低酸素症状や高炭酸ガス症状に注意するように指導をします。

 

●低酸素症状とは

 

「脈拍上昇、血圧上昇から除脈、血圧低下へ変化」、「頻呼吸」、「呼吸困難」、
「チアノーゼ」、「発汗」、「頭痛、悪心・嘔吐」、「消化器症状」、「精神不安、眠気、意識障害」。

 

●高炭素ガス症状とは

 

「脈拍上昇、血圧上昇」、「発汗」、「皮膚特に頬の紅潮」、「呼吸困難」、
「頭重感」、「頭痛」、「不眠」、「手の振戦」、「意識障害」。

呼吸器感染症の予防

慢性呼吸不全の急性憎悪の原因は、呼吸器感染症です。

 

発熱や呼吸困難、喀痰(性状、量、色)の観察によって早期発見し、対応することが必要です。

 

感染の予防に努めるため、
「含漱や手洗いを十分に行うこと」、「部屋の換気に気をつけること」、
「適度な運動を行い、筋力低下を防ぐこと」、「バランスの良い十分な栄養をとること」
などが大切です。

在宅酸素療法(HOT)の緊急時の対応

患者さんの呼吸が荒く苦しい症状を家族や介護者から連絡を受けた場合は、以下のように対応します。

 

@ 顔色や意識レベルを確認し、顔色不良や意識レベルが見られる場合は医師に連絡、指示の確認を行い内容を家族に知らせます。

 

A 看護師が到着するまで患者さんを落ち着かせ、ゆっくり呼吸してもらうように指導します。

 

B 看護師が到着したら、バイタルサイン、SpO2、呼吸状態を確認します。
  バイタルサインが著しく低下していたり、SpO2の低下が著しい場合は、医師に報告をして指示を受けます。

 

C 酸素流量を上げる指示がでた場合は、それに基づいて流量を調整します。

 

D 患者さんは、セミファウラー位になって貰い、深呼吸を促します。可能であれば、口すぼめ呼吸を実施します。

 

E 可能であれば、呼吸理学療法である複式呼吸+口すぼめ呼吸を実施します。

 

F 痰がたまっていれば、痰を除去できるように援助します。

 

G C〜Fで対応をしても変化が見られない場合は、再度医師の指示をうけます。