訪問看護師になるための看護マニュアル

排痰とは

排痰とは、気管支や肺にたまっている痰を移動させて排出させることで
呼吸を楽にするために行うものです。
患者さんの呼吸困難が軽減でき、窒息の予防をすることができます。

排痰の手技

排痰は、気管支や肺にたまっている痰を
タッピングやスクイージング、バイブレーションなどの手技を用いて移動させ、
分泌物を気管支や肺から引き離し喀出します。
痰の粘性が低い時には、体位ドレナージと組み合わせると効果的です。

 

痰の喀出が難しい患者さんや粘稠な痰で喀出できない患者さん、
気管内挿管または気管切開をしている患者さんが対象になります。

排痰の手順

まず患者さんに目的や手順を説明します。

 

必要な物品(聴診器やバッグバルプマスク(小児用のような小型のもの)、
バイブレーターなど)を確認しておきます。

 

聴診器で呼吸音を聴取し、痰がたまっている部位を確認します。

 

痰がたまっている部位が上になるような排痰体位(体位ドレナージ)をとります。

 

患者さんの状態に応じて、タッピングやスクイージング、バイブレーション、ハッフィングを組み合わせて行います。

 

排痰体位(体位ドレナージ)
座位・ファウラー位、腹臥位、側臥位+頭低位、腹臥位+頭低位などがあります。

 

痰がたまっている肺の区域を気管より高くすることで
重力を利用して痰を気道に乗せ、痰の喀出を容易にすることができます。
ですが、循環動態が不安定な患者さんや高齢者、強度の呼吸不全のある患者さんなどには
十分に注意をして行う必要があります。

排痰の手技

@ タッピング
タッピングは、手をカップのようにして胸部を叩く手技です。

クラッピングとも言います。
手掌をカップのように丸めて胸壁に当てて、下から上に軽く叩きます。
背部も同じように行い、必要であればバッグバルブマスクを使用します。

 

* タッピングをしてはいけない時: 肋骨骨折、脊椎骨折、胸部手術創

A スクイージング
スクイージングは、痰のある部位を選択肢、呼気時に圧迫して痰を押し出す手技です。

圧迫法とも言います。
両手掌を胸壁に当てて呼気時に胸壁を軽く押し、
または両側胸部(肋骨)に両手を当てて内側に押すようにして下に引っ張ります。

 

* スクイージングをしてはいけない時: 肋骨骨折、胸部手術創

B バイブレーション
バイブレーションは、呼気時にのみ胸部をゆすったり振動を加える手技です。

粘稠痰に有効な方法です。
振動法、シェーキングとも言います。
両手掌を胸壁に当てて呼気時に手を振動させ、またはバイブレーターを使用します。

 

* バイブレーションをしてはいけない時: 疼痛、骨粗鬆症

C ハッフィング
吸気をゆっくり、呼気を3〜4回、ハーッハーッハーッと強く速く行う方法です。

 

* ハッフィングをしてはいけない時: 持続連携式腹膜透析(CAPD)、胸部・腹部手術創、咽頭痛

在宅での排痰のケア

患者さんにベッドや布団の上でリラックスしてもらいます。

 

体位を変えることによって痰を移動させることができるので、
痰がたまっている部位に応じて仰臥位や半側臥位、側臥位、腹臥位で行うことを指導します。

 

また、粘稠度の高い痰は、水分補給をしたり、ネブライザーを試みます。

日常生活に関わる指導

適宜体位変換をするように指導したり、
深呼吸やハッフィングを練習して、痰の排出に効果的な咳ができるように促します。

 

水分を一日1500ml以上摂取するように促します。

 

患者さんの家族や介護者に、タッピングやスクイージングを指導します。

緊急時の対応

痰が詰まってしまった場合を想定し、顔色やチアノーゼの有無、呼吸状態、意識レベルを観察します。

 

タッピングやスクイージングを行い排痰を促したり、
ネブライザー(吸入器)を使用して喀出を促したりします。
また、吸引器で吸引したりすることもあります。