訪問看護師になるための看護マニュアル

在宅看護における高齢者への対応

@ 高齢者の特徴
加齢と共に身体機能が低下し、

疾病や心身の機能の障害から人の手をかりなければ日常生活を送ることが難しくなってきます。
社会的・家庭的にも大きな役割を担ってきた人が高齢になることにより、
職業からの引退や子育ての終了など役割から解放されることにより、
経済力の低下や社会交流の機会の喪失などを経験します。
この「喪失」は、生きる目的や生きがいの喪失と直結することになるため、
気力が衰え悲観的になったり、寂しい気持ちになりがちになったり、
愚痴っぽくなるなど性格にも変化が見えてくることがあります。
さらに、心身が弱ってくることにつれて無気力にもなり、
マイナス面のイメージも強くなります。

 

ですが、高齢者は、今までの人生経験や体験の中で、
到達感や成就感、充実感などの感情を経験しており
豊かな人生経験による思慮深さ、寛容さ、忍耐力、生活の知恵、
伝等的な技術の習得など、プラス面の性格や生活態度を十分に身につけています。

A 高齢者への援助のポイント
訪問看護師が、高齢者に対して援助を行う際は、

高齢者がその人らしい生きかた、人生の完結が迎えられるよう、
自分の老いや生涯を受け止め、生活機能を維持しながら日常生活を送ることができるようにサポートすることが大切です。

 

高齢者の場合は、一つの疾病や障害が発症することにより、
二次的な疾病や障害を起こす事も多く、合併症を生じる可能性が高くなります。
そして、合併症を生じることによって基礎疾患がさらに悪化し、
悪循環を招く事も多くあるので、常に予防的な対処が必要です。

 

高齢者が寝たきりになる原因の一つに、「転倒」による骨折があります。
骨折の防止をするためには、足元に置いた物の整理や、段差を解消すること(バリアフリーにすること)、
手すりを取り付けることなど、
高齢者がなるべく自立した日常生活を安全に送ることができるような環境を整えることが重要です。

 

高齢になると予備力が低下し、脱水を起こしやすくなるので、
部屋の温度や湿度、就寝時のかけ布団の利用のしかたにも注意が必要です。

 

高齢者が二次的な疾病である合併症を起こしたり、
基礎疾患を重症化させないようにするための色々な予防対策がありますが、
長い人生経験によって培ってきた価値感や生活習慣などを重視し、
個別性や自尊心を尊重した関わりを持つことができるように対処する事も重要です。

 

そして、心身機能や精神機能が低下しても、
介護されなければ生活ができない状態にあっても、自尊心は残っています。
配慮に欠ける発言や態度は禁物ですし、
何気ない一言が高齢者の心をひどく傷つけてしまうこともあります。

 

闇雲に激励したり、無気力や依存敵意だからといって手を出しすぎてしまうと、
その場で反発や抵抗を示していないくても心を閉ざしてしまうこともあるので注意が必要です。

 

高齢者の患者さんの場合、耳が遠くなっている人もいます。
耳元で大きな声でゆっくり話をしたり、
大きな声を嫌う患者さんには耳元でそっとゆっくり話しかける配慮や、
3回ほどゆっくり繰り返して話しかけるなどの配慮が必要です。

 

また、高齢者の患者さんの話にも耳を傾け、尊厳の気持ちを持って聴く事も大切ですし、
医療行為や看護以外の身近なことで高齢者に思いを寄せる姿勢も大切です。